歯周病とは
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我々のお口には、口腔内常在菌という多種多様の細菌が数多く生棲しています。この口腔内常在菌の中に、善玉菌・悪玉菌がある一定のバランスで存在しており、このバランスが悪玉菌に有利に傾いてしまうと、歯周病を引き起こしてしまいます。
歯そのものではなく、歯を支える骨(支持骨=歯槽骨)や骨への細菌の侵入を防ぐ歯ぐき(歯肉)など、歯の周囲組織に発生する疾患なので、歯周病と呼ばれています。 -
歯周病発生のメカニズム
外部から侵入した悪玉歯周病菌がお口の中に定住することで、歯周病が始まります。歯周病菌はその存在を消して侵入してくるので、感染しても気付かないまま生活を続けます。日頃のお手入れが行き届いていないお口の場合、歯周病菌の感染を起こすと、歯周病菌が定着・増殖し、歯周病が始まります。
歯周病の過程は、大まかに次の様になります。
①歯周病菌の侵入と定着
②歯周病菌の増殖と歯周病の発病
③歯周病菌による善玉菌の駆逐と歯周病の重症化
④歯の動揺や喪失
歯周病の進行と
治療法について
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1 健康な状態
歯の根を歯槽骨がしっかりと支えていて、その表面を覆う歯肉(歯ぐき)も、歯の周囲にピッタリと隙間なく密着している状態です。
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2 歯肉炎
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<症状>
歯周病菌によって引き起こされた炎症が骨には及ばず、歯肉に限局している状態で、歯周病の初期段階です。
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<治療方法>
歯肉や歯槽骨の検査で現状確認し、その後歯科医や歯科衛生士によるクリーニングと、適切なセルフメインテナンスを可能にするための歯磨き指導をさせていただきます。
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3 軽度の歯周炎
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<症状>
歯周病菌が、生体バリアの1つである歯肉を越えて、歯槽骨に侵入し始めた状態です。デンタルスタッフでも、非外科的に歯周病菌を駆逐できる臨界点です。
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<治療方法>
治療方法は、歯周炎の治療に順じて行われます。ただ、歯と歯肉の密着が剝がれて出来た溝の奥深くに潜んだ歯周病菌を退治するためには、多くの通院回数が必要になります。
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4 中度の歯周炎
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<症状>
歯槽骨の明らかなロス、歯の揺れ、歯肉からの出血に排膿が加わります。初期では、前歯では前後、奥歯では左右の2方向に揺れ始め、やがて前後左右4方向に揺れだします。
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<治療方法>
歯周病の検査と歯科衛生士による初期治療を行った後、歯周病菌の活動の程度により投薬や歯科医師による外科的な治療が必要になります。また、一通りの治療を終えた後の定期的なメインテナンスも継続することが、その後の歯周病の進行に大きく影響します。
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5 重度の歯周炎
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<症状>
歯が前後左右に大きく揺れ、硬い食べ物を噛み潰せない状態になります。歯が上下左右にも揺れ始めると、その歯の寿命が尽きてしまったことを覚悟していただく必要があります。
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<治療方法>
歯ぐきに対しては④の治療と同様、歯科衛生士による初期治療と歯科医師による治療を行います。揺れている歯に対しては、噛む力を単独で支えることができないので、隣接する複数の歯を互いに固定しあって、揺れを防ぐための処置が必要になります。ただし、既に上下に動揺している歯は、多くの場合、最終的には抜歯することになります。
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早期発見のための
歯周病のサイン1つでもチェックが付く場合は、
早めの受診を!- 歯ぐきからよく血が出る
- 時々、歯ぐきの腫れを繰り返す
- 口臭が以前より気になるようになった
- 歯がぐらぐらしている気がする
- 口の中がネバネバしている
- 歯と歯の間に食べ物がよく挟まる
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歯周病を放置しておくと…
歯周病は口の中だけの病気と軽く考えている方も多いと思います。しかしながら、歯周病菌は生活習慣病と同様に「サイレントキラー」とも呼ばれている病気で、無自覚のままに進行していることがほとんどです。
気付いた時には口腔内だけではなく、全身の健康に影響を及ぼす恐ろしい病気なのです。「歯ぐきから血が出た、赤くなっている」など、炎症のサインを放置していると、歯周病菌が出す毒素や菌本体が何らかの理由で血流に乗って心臓に運ばれたり、肺に入ったりすることで、肺炎や心筋梗塞・狭心症を引き起こしやすくなると言われています。
また、歯周病は糖尿病との因果関係が強く、相互に悪影響を及ぼします。お口の病気だからと歯周病菌を侮らず、違和感を感じた際には出来るだけお早めにご相談ください。
歯周病予防のために
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ご自宅でのセルフケアも非常に重要です
歯周病の治療は、「歯科医院で一度歯の掃除をしたら終わり」ではありません。
お口の中の健康を維持するためには、歯科医院での歯の清掃だけでなく、毎日の歯磨きなど患者さんご自身で行うお口の中のケアが大変重要になります。
例えば、歯の汚れが原因で歯肉炎(歯ぐきの腫れ/炎症)が起こっている患者さんの場合、歯科医院で歯石などの汚れを落とした後、ご自宅で毎日の歯磨きでお口の中の細菌の増殖を抑制するようご協力をいただかなければ炎症は治まりません。 -
正しいブラッシング
歯ブラシを縦使い・横使いしながら歯を一本一本丁寧に磨いていきます。
その時に注意するのは、歯ブラシに強い力をかけすぎないことと、ブラシの毛先を小刻みに動かすようにブラッシングしていくことです。当院の歯科衛生士がしっかりと歯磨きをご指導いたしますので、一人ひとりの歯並びにあわせた正しいブラッシングを覚えましょう。 -
歯ブラシ以外のお手入れグッズ
①歯垢を取り除くデンタルフロス
デンタルフロスは歯と歯の間を掃除するための細い糸のようなお手入れグッズです。
歯と歯の間は歯垢(プラーク)が溜まりやすい場所で、ブラッシングだけで汚れを落とすのは困難です。
歯の表と裏は歯ブラシで、歯と歯の間はデンタルフロスを使用して、歯垢を取り除くのが最も効果の高いお手入れの方法です。
デンタルフロスの使い方も歯科衛生士がしっかりティーチングします。 -
②落としにくい箇所には歯間ブラシ
歯間ブラシは、デンタルフロスと同様に、歯と歯の間などブラッシングでは歯垢が落としにくい箇所に使用します。
デンタルフロスと使い分けは、以下の4点がポイントです。- 歯と歯の間が比較的広い方
- ブリッジ治療や連続した冠せもので歯が繋がっているために、上からデンタルフロスが通せない方
- デンタルフロスの使用に慣れない方(デンタルフロスを上手く扱うにはコツが要ります)
- 隣合う歯と歯の隙間が広く開いている方
※正しい歯間ブラシの使い方や、サイズの選び方のお手伝いをいたします。
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定期検診で歯周病になる前に予防しましょう
既にお話したように、歯周病の早期発見はとても重要です。
予防治療について
そして、一連の歯周病治療を終えた後の定期的なお口のメインテナンスを継続することは、それ以上に重要なポイントです。
プロの目で、お口の状態や歯周病菌の活性を判断した上で、患者さんのご希望や事情なども考慮しながら、定期検診のプランを決定させていただきます。